NIKKEI プラス1倶楽部

人生100年時代

ずっと豊かに暮らしたい

私目線の経済学

私目線の経済学

いよいよ始まるセカンドライフ。
人生の後半戦はどう豊かに生きる?

男女共に平均余命※が年々伸びています。平成29年度の簡易生命表によると、60歳の男性は余命が23.72年、女性は28.97歳。仮に60歳で定年を迎えたと考えると、セカンドライフ(=定年後の生活)は、20~30年も続きます。女性の半数以上が90歳まで、さらに1/4以上は95歳まで生きる時代。男女の余命差から考えると、女性は"おひとり様"時間は長くなるため、これから先の人生は、夫や家族まかせではなく、自分自身でデザインしていく必要もあります。いつまでも豊かに暮らしていくためには、どういった備えが必要になるのでしょうか?

※ある年齢の人々が、その後平均何年生きられるかという厚生労働省が発表している期待値のこと

必要なお金は求める生活次第。
ライフプラン表を作りましょう

公益財団法人生命保険文化センターが行った「生活保障に関する調査(平成28年度)」によると、夫婦ふたり暮らしで必要になる最低限の老後生活費は、月額22万円。よりゆとりのある暮らしを求めるなら34万9,000円が必要とされています。

とはいえ、豊かさの価値観は人それぞれ。つまり「豊かに暮らす」ことを定義するために必要なお金も人により違うのです。そこでまずは、自分がどんなセカンドライフを送りたいのかをイメージすることが大事になるのです。

そのときに役立つのが「ライフプラン表」。ライフプラン表とは、自分と家族の夢や価値観をベースにしながら、子どもの大学進学や独立、自身や夫の退職、住宅のリフォームや車の買い替えといった、今後実際に起こりうる出来事を一覧にして確認する年表のようなもの。これを作ることにより、今後、支出の多くなる時期やその金額が予測でき、いつまでにどれくらい働くべきか、老後に備えてどれくらいの金額を備えておけばいいのかが、わかるようになります。

ライフプラン表

子ども中心だった50代までとは違い、60代からはライフスタイルの軸は自分自身。夫婦であれば「私たちはどんな老後を送りたいんだろう」ということを新婚に戻った気分で話し合い、ライフプラン表に記入していきましょう。

もしそのときに「登山」や「ランニング」など、セカンドライフに向けて挑戦したいと思う何かが見つかったら「体力のある50代から習い始める」など、金銭面以外でも、自分にとって豊かな暮らしを送るために必要なことが見つけられるはずです。夫婦でもお互いの理想の将来像を共有し、大方の枠組みを作っておくことで、理想の老後生活の実現率はぐんと上がります。

自分たちの貯蓄のみでなく、外部要因も踏まえたライフプランを

自分たちの貯蓄のみでなく、外部要因も踏まえたライフプランを

ライフプラン表を作成するときに留意したいのが、外部要因。ここでの外部要因とは、景気の変動や自然災害、オリンピックなどの大きなイベントなど、個人ではどうにもできないけれど、経済的に大きな影響を受ける出来事を指します。2020年には東京オリンピック・パラリンピックが開催されますが、今までの例を考えると、多くの国では開催前にオリンピック特需が終わりを迎えています。2025年問題※を抱えている日本の景気は、さほど楽観的には考えられないと言えるでしょう。

このような外部要因に左右されないためにも、セカンドライフについて考えるときは「景気が良くない」ことをベースに。「収入は低めだが、支出は多いかもしれない」と想定しておけば、もしその予測が外れたらラッキーなだけ。より豊かに暮らすことができます。備えあれば憂いなしなのです。

※ 団塊の世代が2025年までに75歳を超えて後期高齢者に差しかかり、国民の3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上という、人類が経験したことのない超高齢社会を迎えるという日本が抱える問題。

幸せなセカンドライフのための
3つのセオリー

  1. 自分自身で生き方をデザインするという意識を持つ。
  2. ライフプラン表を作成し、今後に必要な備えを考える。
  3. 「収入は低く、支出は多く」と見積もっておく。

人生の黄金期を楽しむために、50代で作戦会議を

人生の黄金期を楽しむために、50代で作戦会議を

"60代は人生の黄金期"。子育てを終え自分自身の時間ができ、まだ体力もあり、意欲も好奇心もある60代。自分自身で人生をデザインして好きなように楽しめる、本当の黄金期がこれから待っているのです。ようやく人生を楽しめる時期を迎えたのに、自分の金銭事情を把握していないがために「こんな生活をしていていいのかしら」と心配になるのはもったいないですよね。不安をゼロにすることは難しくても、デザインしたセカンドライフの暮らし方から、必要なお金を想定し備えておけば、この先何年かは安心して暮らせるはず。人生の一瞬一瞬をキラッと輝かせるために、50代で一度、今後のライフプランについて見直してみてはいかがでしょうか。

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https://www.jafp.or.jp/know/lifeplan/simulation/
9つの質問に答えるだけで、将来の家計を診断できます。

和泉昭子(いずみ・あきこ)

和泉昭子(いずみ・あきこ)

生活経済ジャーナリスト/ファイナンシャル・プランナー/人財開発コンサルタント。

出版社・放送局を経て、フリーのキャスターに。 NHKを中心に、ニュース・情報番組を担当。1995年CFP ®(ファイナンシャル・プランナー上級資格)を取得して現職。現在はメディア出演や講演活動、個人相談などを通じて、マネー、キャリア、コミュニケーションに関する情報を発信している。

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