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特集:血圧リスクをチェック

あなたの血圧は大丈夫? 日常生活に潜むリスクをチェック

2018/3/31

自分の血圧がどのくらいか把握していますか? 「20代、30代は血圧が低いほうだったし、今健康に問題はないから大丈夫だろう」などと過信するのは禁物です。

血圧は年齢とともに高くなります。女性の場合、30代では高血圧の人は1割未満ですが、40代になると約2割と倍増します(「平成27年国民健康・栄養調査」調べ)。

また、血圧が高過ぎる場合には頭痛などの症状が生じることもありますが、基本的にはほとんど症状が出ないため、高血圧だということを自覚しにくいという側面もあります。
高血圧を放置して大きな病気に進行させないための正しい知識を、日本医科大学武蔵小杉病院循環器内科教授の佐藤直樹さんに教えてもらいました。

血圧が高いとどうなるの?

血圧とは、心臓から全身に送り出された血液が動脈の壁を押す力のことをいいます。ポンプのような心臓の収縮と拡張に応じて、血圧も上がったり下がったりします。

このうち、心臓が収縮し、短い時間で強い圧力がかかっているときの値を「収縮期血圧」といいます。「最高血圧」、「上の血圧」とも呼びます。

一方、心臓が拡張しているときの血圧の値を「拡張期血圧」、または「最低血圧」、「下の血圧」といいます。

収縮期血圧/拡張期血圧のどちらか一方、あるいは両方が高い状態が高血圧です。140/90mmHg以上の場合、高血圧と診断されます。健康診断などの結果で高血圧と診断されたら、できるだけ早く病院の循環器内科を受診することをお勧めします。

ただし、病院などで血圧測定をしてもらうと、緊張によって血圧が上がる場合もあります。一度の計測で本当に高血圧かどうかを判断するのは難しい面もあります。そこで今は、家庭で測定した血圧も考慮するようになりました。血圧が気になる人はぜひ自宅でも測定してみましょう。家庭用の血圧測定器を利用すれば、簡単に測れます。

家庭で血圧測定する場合は、起床してトイレを済ませた後など、同じ時間帯に行います。推奨されている血圧の測定は、朝の起床後1時間以内と夜の就寝前の測定です。1週間毎日続けてみて、週の半分以上、血圧が高い日があれば、高血圧だと考えられます。

日本高血圧学会が2014年に発表した「高血圧治療ガイドライン」で正常とされている「最高血圧140/最低血圧90mmHg未満」という正常基準値は「診察室血圧」と呼ばれ、病院で測定した場合の基準になります。家庭で測定する場合には「135/85mmHg未満」が正常血圧とされます。

また、高血圧も3段階に分けるようになっています。「140~159/90~99mmHg」がⅠ度高血圧、「160~179/100~109mmHg」がⅡ度高血圧、「≧180/≧110mmHg」がⅢ度高血圧で、いずれも治療が必要です。

血圧が高いとどうなるの?

高血圧を放置し、血圧の高い状態が長く続くと、さまざまな臓器に影響が及びます。中でもリスクが高いのが心臓です。

高血圧になると常に動脈の壁に高い圧力がかかるため、それに耐えようと壁が厚く、硬くなっていきます。すると心臓はより強い力で血液を押し出さなくてはならなくなるため、一種の筋トレのように負荷がかかり、どんどん壁が厚くなっていきます。結果、心臓のポンプ機能が低下し、心不全を引き起こしやすくなります。

また、長期間の高血圧は全身の動脈硬化を招きます。すると腎臓に血液を送る動脈にも影響が及び、腎機能が低下する腎硬化症を招く場合もあります。

濃い味つけを好んで
食べていませんか?

高血圧には次の2つのタイプがあります。

本態性高血圧

遺伝や生活習慣などさまざまな要因が組み合わさって起こるもので、原因を特定できない。

二次性高血圧

ホルモン分泌異常、腎臓疾患、薬剤の副作用など、原因がはっきりしている。

このうち日本人の高血圧の約90%が本態性高血圧だといわれています。原因を特定することはできませんが、家族に高血圧の人がいる、濃い味つけや油っぽい食事を好む、運動をあまりしない、喫煙の習慣がある、といったことが高血圧のリスクを高める一因になりやすいと考えられています。まずは、自分の血圧の状態を把握しておくことが大切です。

高血圧予防の5つのポイント

血圧は、生活習慣が大きく影響します。まず、次の項目をチェックしてみてください。

<血圧リスクチェック>

  • 濃い味つけが好き
  • 野菜をほとんど食べない日がある
  • 1日のうち、歩いたり運動したりする時間は30分以下
  • BMI(体重÷身長÷身長)が25以上
  • たばこを吸う

高血圧を防ぐためには、生活習慣を改善することが第一です。とくに次の5つをぜひ意識しましょう。

1.減塩する

日本人の平均食塩摂取量は男性10.8g、女性9.2g(厚生労働省「平成28年国民健康・栄養調査結果の概要」より)といわれていますが、血圧をコントロールするためには6g以下にするのがベストです。料理をする際には、食塩の量を減らすのはもちろん、調味料を減塩のものにしたり、酸味や辛みなどで味を補ったり、工夫してみてはいかがでしょうか。インスタント食品や加工食品などに含まれる塩分にも要注意。食塩量が表示されていない場合は、ナトリウム量を2.5倍にすると食塩量に換算できます。また、ラーメンは約5g、カレーライスは約3gと、外食メニューにも塩分が高いものが多いので気をつけましょう。

2.カリウムやカルシウムを十分にとる

野菜や果物、豆、イモ類などに多く含まれるカリウムや、牛乳、小魚、大豆、海藻などに多く含まれるカルシウムには血圧を下げる働きがあります。できれば、野菜と果物は毎日、牛乳は1日にコップ1~1杯半くらい摂るのがベストです。毎日の食事にバランスよく取り入れましょう。また、動脈硬化の予防のためにも低脂肪食、低コレステロール食を心がけることも大切です。

3.ウオーキングなどの有酸素運動を定期的に行う

有酸素運動には、血管の収縮や拡張をコントロールする働きなどを持つ血管内皮機能を改善し、高い血圧を下げる効果があります。毎日30分程度のウオーキングや軽いジョギング、水中運動、自転車こぎなどがお勧めです。10分以上の運動であれば、合計して1日30分以上でもOKです。

4.太り過ぎなら減量をする

肥満の人はそうでない人に比べて2~3倍、高血圧が多いことが分かっています。高血圧だけでなく、糖尿病などの生活習慣病のリスクを高めるので、減量は必須です。BMI【体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)】25未満を目指しましょう。

5.アルコールは適量を。たばこは厳禁

ビール大瓶1本、日本酒1合、ウイスキーでダブル1杯など、1日のアルコール摂取量が30ml以下であれば、心筋梗塞や狭心症などのリスクを減らすという報告もありますが、飲酒量が増えるほど高血圧になりやすいことも分かっています。お酒の飲み過ぎには気をつけ、ほどほどに楽しむことが肝心です。なお、喫煙は血圧を上げる要因になるだけでなく、動脈硬化を進行させ、心疾患のリスクを高めます。禁煙は必須条件の一つです。

血圧のコントロールは、健康を維持するうえで欠かせません。日ごろから意識して生活していただきたいと思います。

佐藤 直樹

佐藤 直樹

日本医科大学武藏小杉病院 循環器内科教授

1987年、日本医科大学医学部卒業。2011年より現職。NPO法人日本心不全ネットワーク理事長として、一般市民への心不全啓発活動や臨床・基礎研究など幅広く手がける。日本内科学会総合内科専門医・指導医。日本循環器学会循環器専門医。日本集中治療医学会集中治療専門医。

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