熱から脳を守るのが
汗の最大の役割
暑くなると汗をかくのは、実は脳のためだということをご存じですか? 脳細胞はコンピューターと同じように熱に弱いもの。私たちの体温は一年を通して36~37度前後に保たれていますが、この温度こそが脳の正常な働きを維持することができる適温なのです。
そこで外気などの暑さを感知すると、脳の視床下部から「汗をかけ」という指令が出されます。その指令は交感神経を通じて、全身のほとんどの部分に分布する汗腺(エクリン腺)に伝わります。
汗腺は皮膚血管の血液から血漿(血液から赤血球などを除いた液体成分)をくみ取り、汗として排出します。皮膚の表面に出た汗は自然に蒸発し、打ち水のように気化熱を皮膚から奪って体温を下げます。
こうした汗の働きがあるからこそ、私たちは暑い夏でも体温を一定に保ち、脳を熱から守ることができています。これは脳が発達した人間だけが有する、とても優れた体の仕組みのひとつといえます。