若い世代は「栄養過多」
高齢者は「たんぱく質不足」に注意
糖尿病、高血圧、脂質異常症......、40代を過ぎると、気になる人が増えてきます。糖尿病の有病者と予備軍はそれぞれ約1000万人にのぼります(平成28年国民健康・栄養調査)。こうした生活習慣病の大きな原因は、ご存じの通り食生活にあります。
食生活の問題は、多くは「栄養過多」ですが、年代によって少しずつ違います。
若い世代では、やはり食べ過ぎや偏食が問題になります。
ただし、20〜30代の若い女性に限っては、ダイエットのために摂取エネルギーが極端に低いなど、逆に低栄養による「やせ過ぎ」が深刻な問題です。20代女性の5人に1人がBMI18.5未満の低体重(やせ)と報告されています(平成28年国民健康・栄養調査)。免疫力が落ちて感染症にかかりやすくなったり、将来の骨粗鬆症の予備軍となるだけでなく、そうした女性から生まれる低出生体重児は将来的に肥満や糖尿病になりやすいということも分かっています。
女性では、更年期にあたる45歳くらいから、気をつけていただきたいことが増えてきます。大きくホルモンバランスが変わってきて、同じ生活をしていてもコレステロールや中性脂肪が上がりやすくなり、一方で骨が弱くなるといった変化が起こるのです。それまで問題のなかった食生活を見直す必要が出てくるということです。塩分を減らす、動物性の脂を控えめにする、といったことに気をつけることが大切です。
55歳あたりでは、それまで健康上の問題がなかった人でも、血圧や血糖値など気になることが出てくることが多いものです。自分の問題に応じて、食生活を見直したい時期といえるでしょう。
そして、65歳以降の高齢期になると、栄養過多とは反対に、必要な栄養が足りない、ということが少しずつ起こってきます。特に75歳以降では、「フレイル(虚弱)」や「サルコペニア(筋肉減少症)」が増えるという問題が生じています。平均的には、昔より高齢者の身体機能は高まっていますが、徐々に食が細くなり、活動量も減っていくと、フレイルやサルコペニアのリスクが高まります。特にたんぱく質の不足は筋肉の減少に直結するので、意識して魚や肉を摂るようにしていきたいところです。