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特集:プチ不調を解消

冷えとストレスに要注意! 年代別・プチ不調の症状解決法

2018/08/04

「体がだるい」「イライラする」「頭が重い」「眠れない」......。病院に行くほどではないけれど、なんとなく続く不調に悩まされている女性は少なくありません。その根本的な原因が「冷え」にあることが、東洋医学に詳しい、目黒西口クリニックの南雲久美子院長のお話で分かりました。プチ不調の原因と効果的な対策法についてご紹介します。

自分では気づかないうちに
蓄積している「冷え」

まず次の項目の中で、自分に当てはまるものがないかチェックしてみましょう。

  • □休日になると、どっと疲れが出て調子が悪くなる
  • □夜中にトイレに起きることが多い
  • □朝まで一度も目を覚まさず、ぐっすり眠れることはほとんどない
  • □毎年、秋口や春先に体調を崩しやすい

一つでも該当する項目があれば、「冷え」が蓄積しているサインです。「寒いのは平気だし、特に冷え性というわけではないのだけれど......」と思う人もいるかもしれませんが、実は冷え性には次の2つのタイプがあります。

  1. (1) もともとの体質による冷え性
    子供の頃から胃腸が弱い、寒さに弱くしもやけができやすい、血圧が低いなど、虚弱な体質によって起こる冷え性です。
  2. (2)精神的ストレスや生活習慣の乱れなどによる冷え性
    もともと体は丈夫で寒さにも強い傾向がありますが、暑い夏に冷たいものをたくさん飲んだり、冷房の効いた部屋で長時間過ごすことなどで、知らず知らずのうちに冷え性になっているタイプです。精神的なストレスや緊張などによる自律神経の乱れも大きく影響しています。

上のチェック項目に該当した人は、まさに(2)のタイプです。そして現代女性の多くが、(2)の冷えからくる不調を抱えています。

冷えは全身の巡りを悪くして
不調を引き起こす

東洋医学には、人間の体を構成する要素として「気(き)・血(けつ)・水(すい)」の3つがあるという考え方が存在します。
冷えはこの3要素それぞれにトラブルを引き起こします。

  • ■「気」のトラブル
    「気」は生命のエネルギー源です。冷えが蓄積すると気の停滞や逆流が起こり、のぼせや不眠などの体の症状をはじめ、イライラ、憂うつ、落ち込みなど精神的な不調も生じやすくなります。
  • ■「血」のトラブル
    「血」は血液の循環を表します。冷えによって血流が悪くなると、手足の冷えや肩こりなどの症状が起きやすくなるほか、月経痛や不妊症、不正出血など婦人科系の不調も引き起こす要因になります。
  • ■「水」のトラブル
    「水」は体内の水分の代謝を表します。冷えによって体内に余分な水分がたまったままになると、めまいや頭痛、耳鳴りが生じやすくなり、食欲不振や吐き気など消化器系にも不調が出やすくなります。

若い頃からためこんできた
冷えが今の不調のもとに

冷えによる不調の表れ方は、「冷えの程度×冷えが蓄積した年数」によっても変わります。年代別では主に次のような傾向があります。

  1. ■20代――「血」のトラブルが起こりやすく、月経周期の乱れなど月経トラブルが多い。吹き出物や肌荒れなど、肌に不調が表れることも。
  2. ■30代――「水」のトラブルが起こりやすく、体の"水はけ"が悪くなりやすい。めまい、頭痛、多汗、むくみ、尿トラブル(頻尿、あるいは出にくくなるなど)が目立つ。
  3. ■40代~50代――「気」のトラブルが起こりやすく、イライラや抑うつ感など精神的な不調を感じることが多くなる。不眠に悩まされる人も増える。
  4. ■60代――体内の中心部に冷えが蓄積し、頻尿や尿もれなど尿のトラブルが多くなる。手足は冷えているのに顔や頭はボーッと熱くなる「冷えのぼせ」にもなりやすい。

特に40代後半になると更年期を迎えホルモンバランスが大きく変化するほか、子育てが一段落したり、親の介護が始まったりと、ライフスタイルそのものが変わるケースも多くみられます。そうなって初めて心身の不調を自覚する人も少なくありませんが、その大本をたどっていくと若い頃から脈々とたまってきた冷えがあるのです。

正しい冷え対策で
不調を防ごう

不調を予防・改善するためには、次の4つの方法で冷えを解消することが欠かせません。

  1. 1.体の外から冷やさない
    特に首の後ろ、おなか、足首を冷やさないよう気をつけましょう。夏場は冷房で体を冷やしすぎないよう、薄手の羽織物を常備するのがお勧めです。足の冷えがひどい場合は、5本指の冷え取りソックスなども有効です。
  2. 2.体の中から冷やさない
    暑い日に屋外で冷たい飲み物や食べ物を適量摂取するのは構いませんが、冷房の効いた室内でキンキンに冷えたドリンクやアルコールを飲んだり、アイスクリームなどをたくさん食べることは冷えを悪化させるので要注意です。暑いときでなくとも、不調を感じているときは冷たいものはできるだけ控えましょう。
  3. 3.冷えた体を温める
    最も簡単に、かつ効果的に体を温めることができるのが入浴です。自分が気持ちいいと感じる温度の湯船にざっと浸かるだけでもよいです。無理に長く浸かろうとするとのぼせを引き起こすこともあるので、自分の体に負担のない入浴法を続けましょう。
  4. 4.冷えない体をつくる
    下半身の筋肉を鍛えることで、冷えにくい体に近づけることができます。筋肉量が多いと体内の代謝や熱生産量が高まるからです。そして筋肉の約7割が下半身に集中しています。お勧めはスクワットですが、家事や歯磨きのときなどにつま先立ちをするのも効果があります。買い物などで出かけるときには、できるだけ早歩きするのも有効です。ぜひ毎日続けてください。

眠りにつく前に
リラックスタイムを

さらに大事なポイントが、精神的なストレスや緊張をできるだけ和らげるようにするということです。

過度のストレスや緊張は自律神経のバランスを乱す要因の一つです。活動中やストレス、緊張を感じるときに活性化する交感神経が優位な状態が続くことで睡眠の質が低下し、血流が悪くなってますます冷えやすくなるという悪循環が生まれます。

ストレスなんてたまっていないと自分では思っていても、夜中に何度も目が覚める、眠りが浅いなどの症状があるなら、自律神経が乱れているサインと考えて間違いありません。

心身を鎮静状態に導く副交感神経が優位な状態にスムーズに切り替えるためには、眠りにつく前に十分にリラックスすることが効果的です。アロマなど心が安らぐ香りを楽しむ、ストレッチをして全身をほぐす、ゆっくり体を温めるなど方法はいろいろあります。自分に合ったリラックス法を見つけ、ぜひ日課にしましょう。

南雲久美子さん

南雲久美子

目黒西口クリニック院長

内科医。杏林大学医学部卒業。東京慈恵会医科大学第二内科勤務などを経て、北里大学東洋医学総合研究所で東洋医学を学ぶ。1996年に目黒西口クリニックを開院。東洋医学と西洋医学を融合した治療を行う。冷え、自律神経失調症をライフワークとしている。著書に『冷え症・貧血・低血圧』(主婦の友社)など。

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