ダイエットや健康のために、油はなるべく控えているという声は少なくありません。しかし、「良質な油を毎日適量摂(と)ることは、体にとってとても大切です」と管理栄養士の関口絢子さん。油脂(脂質)は炭水化物、たんぱく質と並ぶ3大栄養素のひとつ。人間の体にとって、なくてはならない重要な栄養素として位置づけられています。摂り過ぎにはもちろん気をつけるべきですが、成人女性の場合、1日に摂る油脂量の目安は総摂取カロリーの20~30%程度(厚生労働省『日本人の食事摂取基準(2015年版)』より)。
「1日2000kcal摂取している場合は、400kcal前後の油脂を摂るのが基準。大さじに換算すると3~4杯分くらいの油が1日の目安になります」(関口さん)。
体内で作ることができない
必須脂肪酸に注目
ひと口に油脂といってもその種類はさまざまです。大きくは、油脂に含まれる脂肪酸によって次の2つに分けられます。
- 飽和脂肪酸
動物性の油に多く、常温では固体。肉類やラード、バターなどに含まれる。 - 不飽和脂肪酸
植物や魚に多い油で、常温では液体。魚介類や植物性の油などに含まれる。
不飽和脂肪酸は体内で作ることができる「一価不飽和脂肪酸(オメガ9系脂肪酸)」と、体内で作ることができない「多価不飽和脂肪酸(オメガ3系およびオメガ6系脂肪酸)」に分類されます。中でも健康や美容意識の高い女性を中心に注目を集めているのが、オメガ3系の一種であるα-リノレン酸です。前述のように体内で作ることができないので、食品から摂る必要があります。
「α-リノレン酸は、体内でEPAやDHAに変わります。よく知られているとおり、EPAやDHAはイワシやサバなどの青魚に豊富に含まれる必須脂肪酸のひとつですが、青魚を毎日コンスタントに食べるのはなかなか難しいもの。その点、α-リノレン酸を含む油なら、より手軽に普段の食生活に取り入れることができます」(関口さん)。
「アマニは食物繊維が多く、α-リノレン酸という"いい油"(オメガ3脂肪酸)も豊富です。この油は体に良いとされるDHAやEPAの原料にもなるもので、魚の摂取量が減っている現在は、魚に代わるオメガ3脂肪酸の供給源にもなるでしょう」(村上さん)