美肌をキープするカギは
肌表面の「皮脂膜」
そもそも肌にとって"オイル"が必要なのはなぜでしょう。それは、肌のうるおいを自らつくり出して保つ「保湿機能」と、ウイルスや細菌、大気汚染物質などの外部刺激から肌を守る「バリアー機能」に、肌にもともと存在する脂質が大きく関わっているからです。
保湿機能もバリアー機能も、肌の一番外側にある「角質層」が担っています。角質層は次の3つの要素で成り立っています。
- (1)天然保湿因子(NMF)
アミノ酸を主体とする物質で、角層内の水分を保持する働きをもつ。 - (2)細胞間脂質
角層の細胞と細胞の間をつなぐ脂質で、セラミドやコレステロール、遊離脂肪酸などを含む。角層内に水分をとどめる働きをもつ。 - (3)皮脂膜
皮脂腺から分泌される皮脂と、汗腺から分泌される汗が混ざって乳化したもので、中性脂肪(トリグリセライド)、ワックスエステル、スクワレン、コレステロール、脂肪酸などの脂質を含む。肌表面の膜となって水分の蒸散を防ぐ。
皮膚の構造
いずれも健やかで美しい肌を保つうえで欠かせない要素ですが、オイル美容を行う際に特に知っておきたいのが皮脂膜の働きです。先に挙げたとおり、皮脂膜は数種類の脂質で構成されています。その黄金バランスが整っていれば、「うるおい、なめらかさ、ハリ、ツヤ、キメ」といった美肌の条件を自然と満たすことが可能になります。
食用油はNG。自分の肌に合った
美容オイルを
ワックスエステルを豊富に含む美容オイルの代表は、ホホバオイルです。酸化しにくく、低刺激で、どんな肌質にも合うといった優れた性質をもっています。これからスキンケアにオイルを取り入れたい人の、最初の1本としても最適といえるでしょう。
さらに、皮脂膜に含まれるオレイン酸、リノール酸などの脂肪酸を補うことのできる美容オイルとして、オリーブオイルやツバキオイル、アルガンオイル、米ぬかオイル(米油)などが挙げられます。
ただし、もともと皮脂分泌量が多めの肌質の人で、オレイン酸を多く含むオリーブオイルやツバキオイルを使うとニキビや吹き出物が生じる場合もあるので気をつけましょう。そういう肌はリノール酸の多いアルガンオイルや米ぬかオイルなどでケアしたほうが皮脂バランスが整いやすく、肌トラブルの予防につながります。
なお、肌質にかかわらず赤みやかゆみなどが生じた場合には、すぐに使用を中止してください。
また、「オリーブオイルや米油などの食用のものを肌にも使っていいの?」という声も時々聞かれますが、原則的にNGです。食品として登録されている食用油は、あくまでも体内に取り入れるためのもの。肌のケアは、浸透性や酸化防止など肌への作用や安全性を考慮して作られた美容用のオイルで行うのが基本です。
できれば食品を選ぶときのように、美容オイルも原料や産地、製法などをチェックするといいですね。自分の肌にとってベストな美容オイルを使うことも、美肌への大切な一歩です。
オイルは肌がぬれているうちに塗るのがコツ
美容オイルの効果的な使い方のひとつとしてこれからの季節におすすめなのが、バスタイムの全身ケアです。
お風呂上がりの肌は水分が蒸発しやすく、たちまち乾燥してしまうので、まだ肌がぬれているうちにオイルをすばやく塗布しましょう。必要なうるおいをしっかり閉じ込めることができるのはもちろん、オイルの作用によって肌がやわらかくなるため、その後に使う化粧水や乳液などもよりいっそう浸透しやすくなります
肌のうるおいが保たれて、ターンオーバー(細胞の生まれ変わり)が正常に整うと、古い角質が垢(あか)として自然にはがれ落ちるようになります。するとシミやくすみ、ゴワつきなどの予防や改善につながるというメリットも。いつまでも若々しくきれいな肌のために、オイルを上手に取り入れていただきたいと思います。
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