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特集:未病をチェック

「なんとなく不調」を見過ごさないことが病気を防ぐカギ!

2019/1/26

疲れやすい、肩こりがひどい、むくみやすい、すぐにイライラしたり落ち込んだりする......。西洋医学では病気と診断されないこうした心身の不調も、東洋医学では「未病」として原因や対策を調べます。自分でできる簡単なチェック法や、タイプ別の対策について、慶應義塾大学環境情報学部教授、医学部兼担教授で、日本内科学会総合内科専門医の渡辺賢治さんに教えていただきました。

不調を放置していると、
深刻な病気を招く可能性も

病気ではないけれど、なんとなく体調が悪い......。このような「健康」と「病気」の間にある状態を、東洋医学では「未病」といいます。

2000年以上前の中国の書物『黄帝内経素問(こうていだいけいそもん)』に「聖人(優れた医者)は未病を治す」という一節があるように、病気になる前の段階で予防することが重要だという考え方が、長きにわたって受け継がれてきました。

健康と病気の間には、明確な境目はありません。体は健康な状態から突然病気になるのではなく、何年もかけて徐々に変化していきます。白から赤へとはっきりと変わるのではなく、淡い色から濃い色へとだんだんグラデーションを重ねていくようなイメージを描いてもらうとわかりやすいかもしれません。

「なんとなく不調を感じているけれど、別に病気ではないのだから気にしないでおこう」などと何年も放っているうちに次第に悪化し、やがて深刻な病気を招く場合もあります。

病気を防ぐために大切なのは、できるだけ軽い症状のうちに気づき、早めに対策することです。

そこで、東洋医学の「気(き)・血(けつ)・水(すい)」の観点から自分の未病の状態について知ることができる簡単なチェックリストを紹介します。「気」はエネルギー、「血」は血液の循環、「水」は体内の水分代謝を表します。

では、次の項目をチェックしてみてください。

未病をチェック

次の項目の中で、自分に当てはまるものをチェックしてください。

  • □疲れやすい(A)
  • □朝なかなか起きられない(A)
  • □食欲や意欲が湧かない(A)
  • □イライラしやすい(B)
  • □突然焦燥感や不安感に襲われる(B)
  • □動悸がしやすい(B)
  • □ベッドに入ってもなかなか寝つけない(C)
  • □気力が湧かない(C)
  • □のどが詰まるような感じがある(C)
  • □肩こりがひどい(D)
  • □目の下のクマが目立つ(D)
  • □生理痛が重い(D)
  • □爪が割れやすい(E)
  • □髪の毛がよく抜ける(E)
  • □皮膚がカサつく(E)
  • □雨の日は頭や体が重くなる(F)
  • □むくみやすい(F)
  • □よく立ちくらみをする(F)

Aが一番多かった人は「気虚」タイプ

全身の「気」が不足し、元気が出にくくなっている状態です。気を補う米やジャガイモ、鶏肉、アジなどの食材がお薦めです。休息や睡眠もしっかりとりましょう。

Bが一番多かった人は「気逆」タイプ

「気」は頭部から足のほうへと向かって流れますが、その流れが逆行している状態です。リラックスできる時間を作ったり、気の流れを整えるカブや大根、そば、キウイ、シナモンなどの食材を積極的にとりましょう。

Cが一番多かった人は「気うつ」タイプ

全身の「気」の巡りが悪くなっている状態です。適度な運動を行い、気を巡らせるシソやミント、ラッキョウ、大根の葉などの食材をとるよう心がけましょう。

Dが一番多かった人は「瘀血(おけつ)」タイプ

全身の「血」の巡りが悪くなっている状態です。酢やチンゲンサイ、菜の花など、血を巡らせる食材をとりましょう。下半身を冷やさないよう注意することも大切。半身浴も効果的です。

Eが一番多かった人は「血虚」タイプ

全身の「血」の量が不足している状態です。血を補う豚肉やイカ、卵などの食材、そして、温かい料理がお薦めです。大量の汗をかく運動は血を消耗させるので控え、入浴はぬるめのお風呂にじっくりつかるよう心がけましょう。

Fが一番多かった人は「水毒」タイプ

全身の「水」の量が過剰になったり、偏ったりしている状態です。キュウリやタマネギ、昆布、アサリなど水の偏りを修正する食材や、加熱調理した料理を取り入れましょう。運動には水を巡らせたり発散させたりする効果も。入浴でしっかり体を温めることも効果的です。

複数のタイプが当てはまる場合は、より症状を強く感じるタイプを参考にしてください。

また、体調は変化するものなので、不調を感じたときや季節の変わり目など、その都度チェックすることも大切です。

さらに詳しいチェックや診断は下記のサイトで行うことができます。

■未病チェックシート
http://me-byo.com/

健康的な生活習慣を継続する
ことが未病改善の鉄則

40代、50代の女性に多いのが、「水毒」と「瘀血」です。「水毒」タイプの人は、水分のとり過ぎを控え、利尿作用のあるお茶などを飲むのがお薦めです。「瘀血」なら、血の巡りを良くするよう運動する、体を冷やさないように気を付ける、といったことを実践してください。

「冷え」は万病の元、と東洋医学では考えます。冷え対策には、筋肉をつけることが大切です。体が生み出している熱のうち、6割は筋肉が作っています。筋量が少ないと、生み出される熱の量も少なくなり、体が冷えるのです。筋肉は何歳になってもつきますから、ぜひ日常生活に運動を取り入れていただきたいと思います。汗をかく程度の運動を、週に1回行っていただければOKです。

冬には、体を温める食材をとるといいですね。タマネギやニンジンなどの根菜がお薦めです。私も、こうした根菜と肉を入れたスープを自分でも作り、食べています。

このように、病気を防ぐためには、老若男女問わず、毎日の生活習慣が何より重要です。そこで提唱しているのが下の「未病を改善する10の行動指標」です。

未病を改善する10の行動指標

(資料提供/渡辺賢治教授)

第一に、自分の体に関心をもち、体が発するサインを見逃さないようにすることです。そのためにも先に挙げたチェックリストなどを役立てましょう。
次に、健康を保つ上で不可欠な3本柱となるのが睡眠・食事・運動です。とくに食事に関しては、体に良いものを食べると同時に、悪いものを食べないようにすることが基本です。

さらに、血流やリンパの流れを促進する入浴、副交感神経を刺激してリラックス効果を高める深呼吸、インナーマッスルを強くする正しい姿勢も常に心がけて習慣化していきましょう。

また、ストレスは健康の大敵です。ストレスをため込まないためにも、人付き合いでは利害を伴わない"ナナメの関係"を多く作り、自分らしく楽しく過ごせる時間を大切にしましょう。

オンとオフの切り替えを上手に行い、休息を十分にとることも忘れてはなりません。

人生の折返し地点である40代を過ぎれば、誰もが未病であるといっても過言ではありません。20年後、30年後も楽しく元気に過ごすために、早速今日からできることを始めましょう。そして、大切なのは継続です。ぜひ毎日続けてください。その日の食事や運動などを記録することは、モチベーションを持続するコツのひとつです。

渡辺賢治さん

渡辺賢治

慶應義塾大学環境情報学部教授、医学部兼担教授
同大学大学院政策・メディア研究科教授

1984年慶應義塾大学医学部卒業。90年東海大学医学部免疫学教室助手、91年スタンフォード大学医学部、95年北里研究所(現北里大学)東洋医学総合研究所などを経て、2001年慶應義塾大学医学部漢方医学講座(現漢方医学センター)准教授、13年より現職。日本内科学会総合内科専門医、指導医、米国内科学会上級会員、日本東洋医学会・漢方専門医、神奈川県顧問、奈良県顧問、漢方産業化推進研究会理事長、WHO(世界保健機関)で国際疾病分類の改訂委員を務めるなど、国際的にも活躍。著書に『漢方医学』(講談社メチエ)、『日本人が知らない漢方の力』(祥伝社新書)、『マトリックスでわかる! 漢方薬使い分けの極意』(南江堂)

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