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特集:“地中海式和食”って?

健康長寿の食事法“地中海式食事法”を和食で実践!

2019/4/ 8

地中海沿岸の国で伝統的に行われていることから“地中海式食事法”と呼ばれる食事方法は、健康長寿につながることで世界的に知られています。この食事法を和食にアレンジして実践している皆さんにお話をうかがいました。

管理栄養士の榊玲里さんは、健康長寿食として知られる“地中海式食事法”をベースに、和食で取り入れられるようにアレンジした“地中海式和食”という考え方を広めようとしています。

ベースとなった“地中海式食事法”は、イタリアやギリシアといった地中海沿岸の国々で取られている伝統的な食事法のこと。この食事法が注目されたのは1950年代のアメリカでの調査がきっかけでした。当時のアメリカは生活習慣病が増えていました。そのための対策を探ろうと世界の食生活の調査が行われたのです。その結果、地中海沿岸の国々では心臓病による死亡率がアメリカや北ヨーロッパと比較して3分の1以下であることがわかりました。以降、様々な研究が行われ、健康長寿につながるこの地域の食事法が“地中海式食事法”として世界に知られるようになったのです。

地中海式食事法の特徴

  • パンやパスタなどの穀類を多く取る。
  • 野菜や果物を毎日食べる。
  • ナチュラルチーズとヨーグルトも毎日。
  • 毎週、豆やナッツとイモを取る。
  • 油はオリーブオイルを使用する。
  • 食事と一緒に適量の赤ワインを飲む。
  • 赤身の肉(牛と豚)は月に数回まで。
  • 鶏肉、卵、魚介類は週に数回まで。

管理栄養士榊さんが提唱する“地中海式和食”とは?

榊さんは“地中海式食事法”を知ったとき、栄養学的にも疫学的にもかなっているこの食事法を日本人向けにアレンジできないか? と考えました。そこで“地中海式食事法”を和食に置き換えてイラスト化することを思いついたのです。

「“地中海式食事法”も、食べる分量をピラミッドの図式にして表しています。それをヒントに思いついたのがこの“地中海式和食”のイラストです。毎日の献立を考えるときや食材を選ぶときに、イラストが頭に思い浮かべば、誰でも簡単に健康的な食材選びができるかな? と思ったのです。このピラミッドは、摂取する分量を表しています。上にあるものほど少なく取るのが、元祖地中海式食事法のコツ。それと同様にこの地中海式和食でも、例えばお肉とお魚で迷うことがあったら、ピラミッドの下にある“魚”を選ぶようにすることが一目でわかります。視覚的に直感的に、健康的な食生活を送るヒントになればいいなと思っています」

元祖“地中海式食事法”には、オリーブオイルや乳製品、赤ワインなど地中海ならではの食材を「毎日取るもの」と定義しています。
「私が考える“地中海式和食”では、乳製品を『毎日取るもの』には入れていません。カルシウムや乳酸菌の摂取などにおいて乳製品は必要不可欠に思えますが、一方で、気がつかないうちに洋菓子やパン類、カフェラテなどの飲み物からも牛乳・乳製品を多く取り過ぎている場合もあり、結果的に一日の乳脂肪の摂取量が多くなってしまう方もいるのです。そこで毎日の乳製品の摂取については掲載を見送りました。またオリーブオイル以外に、オレイン酸が多いなたね油や、遺伝子組み換えの心配のないこめ油、不足しやすいαリノレン酸を多く含むしそ油やえごま油も加えています」

また“地中海式食事法”では「毎日取るもの」としてパスタやパンが推奨されています。それを日本人の主食である「お米(おにぎり)」として紹介しているのも工夫の一つ。オリーブオイルは、なたね油に。パスタはお米に置き換えることで、和の献立でも“地中海式食事法”として簡単に応用できるようにしたのです。

また、毎食取る食材の量についても、同じようにイラスト化しました。このイラストにおける分量の大枠の目安は、厚生労働省と農林水産省が共同で策定した「食事バランスガイド」を参考にしています。

「多く取る、少なめに取るという言葉でだけでは、具体的にどのくらいの量を毎日食べるべきなのか、理解するのは難しいと思います。そこで、野菜だったら両手に一杯、たんぱく質を含む肉や魚はこぶし一つ分など、自分の手で簡単にイメージしやすいようにしました」

榊さんがレシピを考えるときのモットーは「料理が苦手な人にでも簡単に作れること」。そのため、難しいことを考えなくても、必要な食材とその分量について直感的に捉えられるようにと工夫したのが“地中海式食事法”をベースに編み出した“地中海式和食”なのです。

健康を考えて実践した食事法が“地中海式和食”だった?

このイラストを作成したのは、自然食品のお店を営む須山弘子さん。須山さんは体の不調に悩まされていました。その改善策の1つとして、あるとき、食生活を見直すことに決めました。
「食べるものは体を作ります。意識して無農薬などの良い食材を選ぶようにしたら、お通じがよくなったり、顔色が明るくなったりと、体が元気に変わっていく実感がありました」

食を通じて体が元気になる体験を多くの人に伝えたいとお店を切り盛りしていたある日、須山さんは、榊さんから「“地中海式和食”が一目でわかるようなイラストを描いてほしい」と依頼されました。

その食事法について詳しく聞いたところ「この食生活は私が普段から実践しているものだ」と感じたとのこと。
「食生活の改善を始めてから、意識して野菜を多く食べるようにしてきました。日々取り組んできたことが、ほぼこのイラストに描かれていたのです。だからこそ、榊さんの提唱する“地中海式和食”は、体を元気にしてくれるという実感があります」と須山さん。

食は奥が深く、それぞれの体に合ったものを見つけるのは難しいのも事実です。榊さんはそれでも“地中海式和食”に対する思いを次のように語ります。
「食事はただの栄養補給ではなく、人生の楽しみであり、文化のひとつ。安全でおいしい食を簡単に選ぶ方法が伝われば、みんなが食を通じて、ストレスなく健康な毎日を送れると思っています。“地中海式和食”が毎日の笑顔につながるようになったらうれしいなと思っています」

榊玲理(さかき・れいり)さん

榊玲理(さかき・れいり)さん

管理栄養士。病院での生活習慣病の方に向けて食事の相談に取り組むほか、自宅で料理教室を開くなど幅広く活動中。レシピ作成のモットーは「料理が苦手でも簡単に健康的な食事が作れること」。著書に『身近な食材でつくる10分でできる 健康常備菜』などがある。

須山弘子(すやま・ひろこ)さん

須山弘子(すやま・ひろこ)さん

東京都大田区で「本物の食材を届けること」をモットーにしたお店「自然農場まほろば」を営む。日によっては手作りのおにぎりランチを提供することも。特技はイラストを描くこと。

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