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特集:ご飯の炊き方指南

おいしい食卓の為の基本のキ。ご飯の炊き方を学ぼう!

2019/11/02

お米の炊き方を学んだのはいつのことでしょう。「小学校のとき、家庭科の授業で」「お母さんに教えてもらって」など懐かしい思い出がある人もいれば「そういえば自己流だったかも?」という人もいるかもしれませんね。「最近の炊飯器は高性能だから、炊飯器に任せれば問題ないのでは?」と思う気持ちはわかります。でも、お米の研ぎ方ひとつ、炊きあがったあとの手間ひとつで、ご飯がおいしくなるのであれば、やってみる価値があると思いませんか?
お米マイスターの秋沢毬衣さんにさっそく教えていただきましょう。

捨てる水であっても、最初はミネラルウォーターを

お米を研ぐ前に、ぜひやっていただきたいのが、お米の重さを正確に計量しておくこと。カップで1合のお米を計っても、重さは多少前後してしまいます。まず、炊くお米の重さを正しく計量しましょう。

次にお米にミネラルウォーターを注ぎ、軽くかき回します。

捨てる水であっても、最初はミネラルウォーターを

最初に入れる水はすぐに捨てましょう。このときの水は、ミネラルウォーターなど、特に品質のよい水を使ってください。すぐに捨ててしまうので、もったいないような気もしますよね。でもずっと乾燥していたお米が、一気に水分を得ようとして、特によく吸いこんでしまうのが最初に入れる水なのです。だから、とにかく良質な水を使うようにしましょう。

お米を研いでいる最中も、米粒はどんどん水を吸収していきますので、ミネラルウォーターはもちろん、浄水器などの飲料水を使うのがベター。特に炊飯に適しているのは、硬度の高い天然水です。
さらにこだわるなら、そのお米が育った土地の天然水で炊いてみてはいかがでしょうか? 品種の特性がより味わえると思います。

研ぐときの手は「クマの手」で

このあとは「お米に水を注ぎ、軽く混ぜたらその水は捨て、しっかり水を切ってからお米を研ぐ」という作業を2~3回、繰り返します。
お米を研ぐ際、水を入れたまま状態で行う人もいるようですが、お米は「洗う」のではなく「研ぐ」といいます。米粒が水の中で泳がないよう、水をしっかり切れば、米粒同士が軽くぶつかりあうその摩擦で研ぐことができます。

研ぐときの手は「クマの手」で

お米はとてもデリケート。お米に無駄な力がかからない、この”クマの手”をするのがお勧めです。米粒の中に手を入れたら、クルクル円を描くように回しましょう。20回ほど円を描いたら、水を入れ、出てきた米ぬかを洗い流します。この作業を水の白濁が「やや薄まった」と感じるまで2~3回繰り返します。

お米を研ぐ目的は、ゴミや米ぬかを落とすこと。ただ米ぬかには、ビタミンB1やビタミンB6のほか、食物繊維やミネラルなどの成分が含まれていますので取り過ぎるのも考えもの。水が透明になるまでお米を研いでしまうと、旨味も香りも抜けた味気ないご飯になってしまいます。
ビタミンB1は糖質を分解しエネルギーに変えるときに必要な栄養素で、B6はタンパク質の代謝を促してくれます。
お米を研ぐときは、スピードが命。時間をかけると、お米が乾燥してひび割れてしまうからです。一刻も早く研ぎ終えて、十分な水に浸してあげましょう。

お水の量は、お米の1.45倍!

次に「浸漬(しんせき)」をします。浸漬とは、お米を水に浸すことです。水の量は、最初に計ったお米のグラム数の1.45倍。300g(約2合)のお米なら435ccのお水で浸漬してください。品種によっても、お水の適量は変わりますので、米穀店やお米マイスターに相談してみてください。炊きあがりの好みは、ご家庭それぞれだと思いますので、一度規定の水分量で試してから、お好みの水加減を見つけるのが良いでしょう。

水温によって浸漬時間は変わります。夏場(水温25度前後)は30分、冬場(水温5度前後)は1時間が目安。昔は「新米は水分量が多く、古米になると減ってくるので、時期によって水の量を変える」といわれましたが、今は保存の環境や水分管理の技術が上がっているので、特に気にする必要はありません。
炊飯器にお米をセットした状態で浸漬させて大丈夫ですが、夏場は水が痛んでしまう可能性もあるので、気をつけてください。もし夜に研いだお米を朝に炊く場合は、冷蔵庫の中で冷やしながら浸漬させるようにしましょう。

お水の量は、お米の1.45倍!

浸漬をしっかりさせることで、米粒の内側からふっくらとし、粒立ちのよいご飯に仕上がります。

蒸らしは不要。炊けたらすぐにほぐす

最近の炊飯器は、蒸らし時間もしっかり計算されています。炊きあがりの合図が聞こえたら、すぐに蓋を開けて、ご飯を外側から内側へとほぐしてください。

蒸らしは不要。炊けたらすぐにほぐす

こうすることで、ご飯の余分な水分を飛ばすことができます。ご飯を毎回炊くのがむずかしい場合は多めに炊いておき、食べない分はラップに包んで冷凍します。これにより炊き立てに近い味がいつでも楽しめますよ。

お米マイスター秋沢さんが教えるお米の炊き方

  1. Point1.お米を洗う前に、まずは計量を。

  2. Point2.最初に捨てる水は、ミネラルウォーターを使う。

  3. Point3.研ぐときは『クマの手』に。

  4. Point4.水の量は、米の量の1.45倍が基本。

  5. Point5.夏場は30分、冬場は1時間の浸漬を。

  6. Point6.炊き上がったらすぐにほぐすこと。

炊飯をしない米は、密閉した容器に入れて15度くらいの冷暗所で保存してください。ご家庭であれば冷蔵庫の野菜室がちょうどよいでしょう。
いつも何気なく行っている炊飯も、少し気をつけるだけでいつもよりおいしく炊きあがります。新米の季節に、ぜひお試しください。

いつも何気なく行っている炊飯も、少し気をつけるだけでいつもよりおいしく炊きあがります。
秋沢毬衣さん

監修:秋沢毬衣さん

五つ星お米マイスター、米・食味鑑定士。東京都調布市にある米穀店の株式会社 山田屋本店の6代目。日本女子大学家政学部食物学科卒業後、醸造会社へ就職。退社してのち、欧州留学を経て2015年に家業の山田屋本店に就職。11月23日には、自主企画によるお米の食べ比べイベント「オコメコレクション2019」を銀座三越にて開催予定。

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